ビーハッピーのメンバー、山根暁さんの作品がパリで開催される、『アール・ブリュット・ジャポネⅡ展』で展示されることになりました。
アール・ブリュット展は、正規の美術教育を受けていない人々が、伝統的な文化や社会の潮流に流されることなく、独自の発想と方法により制作した作品の展示会です。今回は日本の作家に焦点を充てた展示会の第2回目です。
第1回目は12万人もの方が来場し大盛況となりました。2回目となる今年は、日本から52名の方の作品が展示されることになり、その中の一人に、ビーハッピーの山根さんが選ばれたのです。
その作品というのが、このロボットたちです。およそ15㎝という大きさながら、指の1本1本が動かせるという緻密さです。このロボットたちは専門的な素材で作られているのではなく、バインダーのプラスチック部分や、ケーキやお菓子の袋を留めるのに使われているカラータイなど、身の回りにある素材を使っているのです。
それらの素材を、カッターナイフやはさみ、カラーマジックなど、どこの家庭にでもある道具を使って、作り上げています。もちろんロボットのデザインは山根さんのオリジナルで、まさにアイデアと発想力で作られた作品といえると思います。
山根さんが創作を始めたのは3~4歳のころからで、当時から身近にある空き箱や割りばし等を切り貼りして、おもちゃやご両親へのプレゼントを作っていたそうです。ちょうどそのころ山根さんは発達障害と診断されました。
小・中学校では人との関わりやコミュニケーションが苦手だった山根くん。心の支えとなったのがモノづくりでした。テレビで見るような、かっこいいロボットを自分で作ることができたら、、、そんな思いでロボット作りを始めました。切り取ったパーツをただ組み合わせるのではなく、ロボットの関節が自由自在に動き、色んなポーズが取れるよう工夫したのも、少しでも自分の理想に近づけたいという思いがあったからなのです。
家族の後押しもあり、山根さんは作品展に積極的に出品するようになりました。そして去年岡山県で開かれた『きらぼしアート展』に出品、入賞した作品が、アール・ブリュット・ジャポネの現地選考委員の目にとまったのです。
また山根さんの創作は、ロボットだけに留まりません。毎年のお正月、ビーハッピーの玄関には山根さん手作りのミニ門松を飾っています。また毎年、オリジナルキャラクターが主役の手作りカレンダーを持ってきてくれ、担当チームのスケジュール確認にも活用されています。
山根さんのお母さんは、パリで展示されることを喜びつつ、以下のようにおっしゃっています。
『日常でたくさんの人たちが、何かを一緒にやっている事を表現したいのかなと思う。ロボットだけど、一緒にバレーボールをしているシーンを作ってみたりだとか、人とコミュニケーションをとることが難しい子なんですけど、そういうところに憧れを感じているのかなと思う』。
ロボットへの憧れやコミュニケーションへの憧れから始まった山根さんの創作作品は、これからは、多くの人たちに夢と希望を与える作品になっていくのかもしれませんね。
※『アール・ブリュット・ジャポネⅡ展』
開催場所:パリ市立アル・サン・ピエール美術館
開催期間:2018年9月8日~2019年3月10日